かわいひでとし日記
令和8年10月19日      山崎貴監督      日本映画の琴線
  
「ALWAYS 三丁目の夕日」や「ゴジラ-1.0」の、山崎貴監督の映画が大好きだ。

山崎監督の映画を見ると、自分の好みの琴線にふれる思いがする。

小津安二郎や山田洋次や黒澤明を連想するのだ。

山崎監督は天才だ、と思ったりするが、いや、ちょっと待て、

天才というのではなく、しっかり基本を押さえている、と言ったほうがしっくり来る。


寅さんの映画の中で、タコ社長が言っていた。

「実の親子じゃこうはいかねえよ」、と。

寅さんとさくらさん、おいちゃん、おばちゃんの関係の事だ。

あの映画、最初の設定段階から寅さんさくらさんと、おいちゃんおばちゃんが

実の親子として登場してもおかしくは無いのだ。

けれど、実の親子ではない設定であることが妙に効いているのだ。

そういえば、「ALWAYS 三丁目の夕日」で吉岡秀隆演じる駄菓子屋さんにも、

実の親子ではない親子関係が有った。

また、堀北真希演じる六ちゃんが集団就職で東京にやって来て鈴木オートに就職する、

という設定も、設定段階からわくわくさせられるものが有る。

こういう設定の妙にピンと来る感性を山崎監督は持っているのだと思う。

それはどこか、日本映画の味わいというものになっている。

黒澤明の「七人の侍」で、侍を集める過程にわくわくさせられたのと、

とても良く似ている。

そんな山崎監督だからこそ、「ゴジラ-1.0」で、じっくり人間ドラマを描いたのだろう。

黒澤明監督は「羅生門」や「七人の侍」などで、

面白い映画はこうやって作るのですよ、というお手本を世界に示した。

そして世界は驚愕したのだった。

スターウォーズの監督ジョージ・ルーカスは、映画学校の授業で「七人の侍」を見て、

その後夢中になって1週間で7回も見返したのだと言う。

「七人の侍」が公開された後、世界中で7人のナントカという映画が

たくさん作られたものだった。

まさに映画の作り方のお手本を示したと言えるだろうと思う。



「ゴジラ-1.0」もまた、面白い映画はこうやって作るのですよ、

というお手本を世界に示したと言えるだろう。

まるで黒澤明の様な設定段階からの面白さ、まるで小津安二郎の様な人間関係の描き方、

そしてさらに、山崎監督自らSFXも手掛けており、実に完成度の高い映画になった。

「ゴジラ-1.0」のマイナスワンというのは、

戦争で焼け野原になりゼロになってしまった日本が

ゴジラによってマイナスに突き落とされる、という意味だそうだ。

この時代設定も非常に面白いと思う。

敗戦で軍隊が解体され、ゴジラには民間人だけで立ち向かわなければならない、

という実に巧妙な設定なのだ。

この設定の面白さは「七人の侍」を思い出す。

野武士の略奪に困り果てていた百姓たち、代官所に訴えても相手にされず、

自分達でなんとかしなければならない。

そこで村の長老が言うのが「侍を雇うだ」なのだ。

ええ?百姓が侍を雇うなんて聞いた事がねえ、というのだが、

侍にも食うに困っている者も居るから雇えるだろう、という事で、

村の代表二人が宿場町に侍を探しに行くのだ。

実に面白いと思うし、侍を探す過程からしてワクワクするのだ。


「ゴジラ-1.0」では、スピルバーグの「ジョーズ」やゴジラ第1作などへのオマージュも

盛り込まれていて、まさに先輩監督たちの仕事を踏まえた映画作りをしている。

そういう所が「基本を押さえている」と思う点だ。

そういえば、スティーブンスピルバーグ監督は、「ゴジラ-1.0」を繰り返し3回観た、

と言っている。


ゴジラ-1.0はアメリカアカデミー賞で視覚効果賞を受賞し、

日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む最多8冠を制している。

さらに各国の映画祭で、数多くの賞を獲得しており、

さらに興行成績も世界興行収入が100億円を突破している大ヒットとなった。


自分は何故か昔から日本映画が好きだ。

小津も黒澤も全部観てきたし、東宝の社長シリーズや駅前シリーズ、

山田洋次監督の初期の作品など、たくさん見てきた。

これらの日本映画はある意味で歌舞伎や落語の影響を強く受けていると言える。

結局日本映画の良さは江戸時代からずっと培われて来た日本のエンタメの力なのだと思う。


山崎監督にはこれからも、日本映画の良い所をしっかり踏まえた

質の良い映画を作り続けて欲しいと思う。


「ゴジラ-1.0」の続編、「ゴジラ-0.0」が11月3日(ゴジラの日)から公開される。

ほぼ同時の11月6日から全米でも公開される。

これに先立ち、先月、ニューヨーク映画祭で「ゴジラ-0.0」が上映され、

かなりの高評価を受けている。

ハリウッドは映画の作り方を日本から学ぶべきだ、という感想が語られているのは、

前作の時と同じだ。

果たして前作を越えられるのだろうか、実に興味津々だ。






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