お辰さん、女の心意気
今は亡き、思い出の役者さん
中村勘三郎
恩義有る人の息子がトラブルを起こしてしまった。
仲間内でその息子をかくまおうという事になるのだが、、、。
リーダー格のサブの家へ行ったお辰は、自分がかくまうと言うのだが、
サブは、それはダメだ、と言う。
なぜか。
それは、お辰どん、あんたの顔に色気が有るからだよ、と。
若い男を若い女の所に預けたら、何が起こるか分からない、と。
お辰はカチンと来るのです。
女だと思ってバカにしやがって、と。
お辰はとっさに火鉢にかけてあった鉄棒を取ると、自分の顔に押し付けるのでした。
頬が火傷で醜くなった自分の顔を、サブに見せながら、
これでも色気が有りますか?!
お辰さんの女の心意気を描いたこのシーンは、この芝居の名場面です。
ニューヨークタイムスの劇評でも、大絶賛され、
「実際に火傷をしないまでも、女性ならこの気持ちが解るでしょう」と有りました。
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