令和4年4月25日
海の怖さ 恐怖の経験 |
自分は若い頃、潜水夫をしていて、その頃同時にサーフィンもしていた。 みんなでつくづく思って言い合ったのは、「海は眺めるもので、入るものではないな」ということだった。 例えば、海上で船から落ちてしまった場合、どうなるかというと、 すぐそばに有る船を見つけることが出来なくなってしまう事が有る。 船からドボンと海に落ちてしまった訳で、まだ船はすぐそばに有るハズなのに、 水から顔だけ出して慌てている状態では、波にさえぎられてしまって、 すぐ近くに有る船を目視する事が出来なくなってしまう。 水から顔しか出ていない高さの視線では、ちょっとの波高でもそうなってしまう場合が有る。 そして、船とは逆方向に泳いでしまう事も有るわけだ。 潜水夫の仕事の一つに船底掃除が有る。 船の底についた貝殻を、シャベルの小さいものの様な道具を使って引っ掻いて貝を落とすのだ。 タンカーの様な大きな船の船底は真っ平になっていることが多い。 そして、大きな船の船底に居ると太陽光が届かず真っ暗になっている。 海上に出ようと思って泳いで進むのだけれど、自分が真っすぐ進んでいるかどうか分からない。 最悪、円を描いて泳いでいるかもしれないのだ。(人間の脚は左右均等の力を出すわけでもないのだ) なので、いつまでたっても海上に出られず、ボンベの空気が無くなって死亡事故が起こる。 船の幅が20m以上も有る船だとそうなってしまう可能性が高い。 サーフィンをしていた頃、台風が通り過ぎた後の外房(千葉県の太平洋側)は、波が大きくて、喜んで出かけたものだった。 しかし、波の力と言うのは物凄いものだ。 一度、波に飲み込まれて海底に押し付けられたことが有った。 上から波に押さえつけられて、暫くの間全く身動きが出来なくなってしまう。 波の力と比べれば人間なんてものは藻屑と一緒。 波と言うのは物凄い力が有るのだ。 ダイバーの仕事の中で、冬に川に入る仕事をした事が有った。 水が冷たくて一切何も考えられなくなってしまう。 あの冷たさは凄いものだった。 本当に思考が停止してしまう。 水は本当に恐ろしいものだ。 知床で起きた遊覧船の事故をニュースで見て、上記の様な事を色々と思い出した。 船首が波に突っ込んで浸水して、船体が30度傾いてしまったらしい。 30度傾くと言うのはかなりの傾斜で立っている事は出来ずに、何かに捕まってぶら下がっている様な状態だ。 そしてあの小さな船の船首から沈み始めたという事は、僅かの時間で船を失って海水に落ちる事になる。 そして冷たい海水。15分で意識不明になる。 みなさん、本当に海をバカにしてはいけません。 とても恐ろしい力を持っています。 自分が昔、潜水夫をやっていた時の思い出話です 水中土方の四季 https://r4.quicca.com/~kawai/kawai/report/diver1.htm |
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