令和2年9月27日. たちの悪い嵐
コロナ禍の教訓
このコロナ禍は、もう過ぎ去りつつあるものかもしれない。
けれど、この2020年を生きた人は、後年、この経験を糧にしなければならないだろう。
一体何が起こったのか、もう一度整理してみてはどうでしょう。
この経験をしっかり踏まえることで、後年、新たな危機が起こった時の力になるのではないでしょうか。
というわけで、「2020年はコロナでひどかったんだよ~」と言うだけではなく、
何がどうなって、何がまずかったのか、整理しておいて、
後輩たちに伝えられる様になっていなければならないのではないでしょうか。
ということで、この本を一読する事をお勧めします。
官僚というものが、いかに自分の保身にしか興味が無いのか、国民はどーでもいいと思っているのか、という事が色々書かれています。
厚労省というものが感染症に対して無力だったこと、それに比べて細菌兵器などに対応するノウハウを持っている自衛隊が、ダイヤモンドプリンセス号に1700人もの隊員を派遣して一人の感染者も出さなかったこと。
武漢から共産党の圧力をかいくぐってSNSで現状を発信した人たちがたくさんいたにも関わらず、これは大した病気ではないと言っていた「専門家」なる人々。
重大な事が起こりつつあるときに、「桜を見る会」の事しか話していなかった国会議員。
習近平来日や、春節のインバウンド、そして東京オリンピックに忖度しすぎて対策をとらなかった政府。
あらゆる問題がコロナによって浮かび上がって来たのです。
また、日本の企業がどっぷりと中国頼みになっていて、かなりのんきな事とかも書かれています。
政府はこれを教訓として、サプライチェーンの見直しを始めましたね。
中国から撤退する企業にお金を出すような事を始めました。
この本は今回のコロナの事を書いていますが、危機管理のバイブルにもなる本だと思います。
コロナの当初は、たいした病気ではない、との認識だった事は、
自分としては仕方がなかったのかもしれないと思うけれど、これは危ない、と思った時点でぱっと切り替えられるかどうか、なのではないだろうかと思います。
というか、これは危ない、と思えるかどうか、
そして、のんきな事を言っていないで、さっさとやらないと!と思えるかどうか、
でもあるのだろうと思います。
仕事が終わったら飲みに行ったり、休みの日は遊びに行ったりして、
仕事の事をすっかり忘れているのって、少しキケンな事だと、個人的には思います。
月曜日に出社して、え? とか思って、そんなことまで考えていなかった、とかになった事ってありませんか?
例えば創業者の様な人や、一人で商売をしている様な人だと、
一日中、24時間仕事の事を考えていたりして、寝ているときに、ふっとアイデアが思い浮かんだり、
あ、あれを忘れてた!とかを思い出したり、仕事時間以外に気が付く事って多いと思いません?
時間が来たら仕事の事をすっかり忘れてしまう生活をしていると、危機感を持つのが難しくなる、という事はないでしょうか。
じゃあどうせいというのか、、、。
殆どの場合、サラリーマン気質では危機管理だの責任有る立場だのは務まらないのかも、、、、。
24時間仕事の事を考えている様な感じでないと、「そうなのか、じゃあすぐやらないと!」
みたいな感じにはならず、「まあ、だいじょぶじゃない?」みたいな感じになっちゃうんじゃないですかね、、、。
学校だの会社だので、突然火災報知器が鳴った事ってありませんか?
そういうとき、なぜか殆どの人が、「誤作動でしょ」的にのんびりしているのを見た事ありませんか?
そういうとき、その場に責任を感じている人だと、これは誤作動かもしれないが、一応すぐ避難しろ、っと言うんじゃないでしょうか、、、。
総理大臣ともなれば、さすがに24時間仕事の事を考える様な生活になるでしょうが、ただ、総理ともなると守備範囲が広すぎて、それぞれの部署に任せなければなりませんけどね。
責任を感じる事が出来る人、危険に気が着ける人、でないと、大臣をはじめ、省庁の幹部は務まらないですよね。
小さな事から大きな危険に気が付くというのは、やはりかなり広い教養を持ち、
仕事に責任を感じていないと出来ない事なのではないでしょうか。
教養とは、豊富な知識のことではなく、豊富な知識の間を埋めるものだと思います。
それは時には経験であったり、時には想像力であったり、時には責任感であったりもすると思います。
働き方改革とか言ってる場合じゃないかもです。
自分の子供、子孫、後輩たちに伝える為にも、是非読んでみてください。
よく「事実はひとつしかない」なんて事を言うけれど、実は、事実は複数有ります。
武漢が封鎖されるほどの感染症が流行っている、
中国主席が国賓で来日する
春節で中国人観光客が大挙して来日しインバウンドが期待できる
7月に東京オリンピックが開催される
というように、いくつもの事実が重なって現れてきます。
そこから何を優先するか、それはもう、感性とでも言ったほうが良いのかもしれない。
日頃の意識の持ち方が大事なのかもしれない。
知識と、それを駆使できる教養が大事なのかもしれない。
自分の座右の書である、サン・テグジュペリ著「人間の土地」にこんなくだりが出てきます。
真摯に仕事に向き合う、尊敬する先輩について語った部分です。
ギヨメ君、きみは自分の敵に挑みかかるにあたって、いきなりまず相手を嘲笑したりする必要を感じたりする男ではない。
性質(たち)の悪い暴風雨(あらし)に直面した場合、きみは判断する。
「これは性質の悪い暴風雨だ」と。
きみはそれを正面から受けて立ち上げり、きみはそれを測る。
最後に、日本に国民皆保険制度が有る事には改めて感心してしまいます。
そうしようとした時、そんなもん、財源はどーすんだ、できるわけねーだろ、なんて言われながら成し遂げた先人たちを尊敬します。
疫病2020 門田隆将 著 産経新聞出版
精神の風が粘土の上を吹いてこそ、人間は創られる
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